2013年7月アーカイブ

ゲームデータ制作の段取り 2

ゲームデータ作成に必要なもの

ゲームデータを作る時には事前にいくつかの資料が必要になります。

基本的にはゲームの内容とか世界観とか、ゲームのデータ内容がわかるものが必要となり、データ作成者はそれらの資料をもとにしてテキストを作成していきます。

下記に記したものが必要な資料になります。これらが無い場合には、データ作成の前に下記の資料を作成する作業が必要になります。

たまに「仕様書は無いんですが、データを作成していただけませんでしょうか?」というご相談をいただいたりするのですが、その際には仕様書を作っていただくか、こちらで仕様書を作る必要があります、と説明しています。「仕様書無しでデータを作ってください。仕様書作成費用無しで」という事があった場合は......書類の依存関係を説明しなければならなくなります。何故資料が必要かは後述します。

必要なものリスト

  • 企画書
  • ゲーム仕様書
  • シナリオ仕様書
  • データベース仕様書

企画書

ゲームの概要を記述した書類。

企画書といっても、事業計画とかの情報は必要なく、主にゲームシステムやゲームの世界観が伝わるものが要求されます。

特に作成するデータを使用する箇所の、システム的な概要とプレイヤーに伝えたいフレーバーがわかるものが必要となります。

ゲーム仕様書

  • プレイシステム
  • 画面仕様書
  • ゲーム内用語の指定
  • パラメータの説明

といったような部分が必要になります。

プレイシステム

データを使う箇所は主にゲームのプレイ部分であるので、プレイ内容について説明している仕様書が必要となります。

プログラム的な仕様については必要ないのですが、画面挙動やボイス発生とか、データが実際に使用される実情が把握できるものが嬉しいですね。

画面仕様書

作成されたテキストデータが画面にどのように表示されるかを確認する為に必要です。

表示サイズから適切なテキスト表現や文言を割出します。

例えば、小さな文字をたくさん表示するウィンドウの場合、画数の多い漢字を乱用する事を避けたり、一瞥するだけで理解できる単語を使用したりするなどの判断ができるようになります

ゲーム内用語の指定

ゲーム内用語についても定義が必要です。開発時に各担当者間で修正や追加といった作業が発生するのですが、用語がまちまちな為に違う場所を修正してしまったり、余計なものを作ってしまったりして開発が混乱してしまう事が無いように、言葉の定義はしっかりしておく必要があります。

「知ってて当然」と思ってしまうと思わぬ落とし穴になる、という事がよくあります。て言うか、むしろフラグです。

パラメータの説明

使われるデータやゲーム中で使用される各パラメータの説明です。

ゲーム内で、どう処理されているかを理解する必要があるものも多いですので、各種パラメータについての説明があると、テキストを書く時に適切に記述ができます。

まだかかりそうです。続く~

ゲームデータ制作の段取り 1

うちの会社ではゲームシナリオ制作の中でデータ作成というものをしてます。

結構案件によって作業がまちまちになってしまいがちなので、ここで一般的な段取りを書いてみます。

データ作成とは?

シナリオ制作業務

世界観設定
ゲーム世界の基本的ルールを設定する作業
プロット作成
ゲーム世界の物語を作成する作業
シナリオ作成
物語からシナリオパートのテキストを作成する作業
データ作成
物語からゲームパートのテキストを作成する作業

 

ゲームはシナリオパート以外にも、プレイヤーが実際にプレイする最中にもテキストが多数表示されます。

例えばアクションゲームのプレイ中に出る、ボスキャラと戦う前口上とか、スキル発動する時のセリフとか、数十文字程度でおさまりそうなテキストです。

ゲーム中のテキストなので、ゲーム展開によって内容が変動したりするので、ゲーム仕様を理解しなければならない所が難易度の高い所ですね。

カードゲームだと、カードの枚数だけデータがあり、しかも状態によって出力されるテキストがいっぱいあります。

ゲームデータの例

エクセルデータとかで、各項目にテキストデータが書き込まれているのが一般的です。

例えるならばこんなかんじです。

名前 スキル名 フレーバー イベント 勝利
エリザ 秘密のダンス 酒場で踊り子をしている。
裏の顔は現政権に抗う反体制派のメンバーの一員。
酒場では王国軍のクズ兵士を接待し諜報活動をしている。
ここは、ぼうやの来るところじゃないわ はっきりいって邪魔!
ケーレブ 五月雨切り 特権区で暮らす貴族の坊ちゃん。
主人公と出会い主人公に興味をいだく。
そんなぁ~......また今日も特訓ですかぁ~? 御師匠!今日もわたしは元気です!

 

ゲームシナリオ制作業務で作られるデータ作成と、プランニング業務で作られるデータ作成は違っていて、結構「データ作成」という言葉で混同されたりします。

其々のデータ作成の違いはこんなかんじです。

ただ、ゲームや会社によって業務分担が変わったりしますので、これでスッキリしないのも難しい所です。

業務分担
フレーバーテキストシナリオ
イベントセリフシナリオ
バトル時セリフシナリオ
属性設定プランニング
パラメータ数値プランニング
レアリティプランニング

シナリオ業務としてパラメータ数値を入れたりする事もありますが、ほとんど「仮に入れる」程度の仕事になります。

特に属性・数値・レアリティ等のバランスをとったりする仕事はプランニングのお仕事になります。

 

ちょっと長くなってしまったので、続きます

プロット無しでシナリオ制作・・・?

「プロット作成は結構ですので、シナリオだけ納品してください。予算はシナリオ代だけで結構ですよね?」

と言われたらどうしよう......という話がありました。

社内で軽く議論。

まあ基本的にありえない、というのはおいといて、どのような例えで説得しようか、と。

私「絵を下書き無しでパツ描きするようなものですよ」

仮想客「上野の公園とかでやってる人いるじゃないですか」

私「ぐぬぬ......あ、でもノーリテイクですよ?」

仮想客「あ、それで結構です」

その後絶対リテイク来るに1000ペリカ。というか、リテイク減らす為にもプロット必要じゃないですか。本末転倒ですよ。

という訳で結構悩みました。

色々と意見が出ましたが、

私「私はお医者さん。これから貴方を手術します。」

仮想客「はい」

私「検査しません。レントゲンとりません。術前術後の説明しません。いきなり切ります」

仮想客「もし治らなかったら?」

私「何回でも切りますよ!勿論検査無しで!!」

という例えを出したら、社内では「結構近いかも」と言われました。

何回もリテイクしてたら、確かにお客様にも出血を強いりまくりですね~......。

会社の人がクライアントに提出する企画書を書いたので、プレゼンテーションしてもらいました。

事前にプレゼンテーションをする理由

  • 企画内容の理解をする
  • 企画内容に問題が無いかチェックする
  • 事前準備として練習する
  • 頭の中を整理する

とかとか

プレゼンしてみるポイント

企画書の内容を説明するにあたり注意事項を簡単にリストアップすると、以下のようになったりします。

  • 企画のキモを一言で説明
  • キモに至るまでのストーリーを語る
  • ストーリーの内容を論理的に説明する
  • プレイヤーのプレイストーリーを語る
  • 絶対に良い企画であると確信する
  • 伝えたくなる気持ちになること

そんなところ

企画のキモを一言で説明

プレゼン受ける人は事前情報が全くないので、いきなり詳しい話をしても頭に入らないです。

色々細かい話を聞いているうちに、理解が追い付かず、聞いた端から忘れてしまいがちです。

結局は説明を理解する事に疲れてしまい、飽きられしまいます。

聞き手の頭の中をフォーマットしてあげると、理聞き手の理解が楽になると思います。

企画の重要な部分、知ってほしい部分を一言で伝えてあげると、聞き手の頭の中に「これからこういう内容の情報が来るんだな」と身構えてくれるので、是非わかりやすい言葉で一言で伝えてあげるよう心がけてたりします。

逆にポイントを一言で伝えられないうちは、企画のポイントがぼやけているなあと、企画を見直してます。

キモに至るまでのストーリーを語る

人間は物語で頭に入れる生き物だったりします。

企画者が企画を生み出すまでの物語を伝える事により、

「なぜこの企画はこうでなければならないのか?」「重要な部分が、どのような意味でこうなったか?」を筋道立てて理解してくれるでしょう。

私は箇条書きが好きなので、プレゼンテーションする時も資料等にポイントを箇条書きしますが、説明する時は脳内にストーリーを作って語り部になったつもりで話たりします。

その方が気分もノッてきたりするので、いいのかな、と。

このストーリーがすんなりとしゃべれない場合、企画の内容やポイントについての整理が出来てない場合がありますので、内容を見直したり、頭の中を整理したりしてます。

企画書を見てもすんなりこない場合は、紙に考えの流れをフローチャートにしてみたりして、何でそんな事考えたんだろう?って自問自答したりもしたりして。

そんなこんなで支離滅裂な場合には、きっとこの企画は支離滅裂なんでしょう。と、作り直します。

ストーリーの内容を論理的に説明する

物語はともすれば情報が散らばってしまったまま、とっちらかっているので、

重要な情報をキーワードとして拾い上げ、論理の形に並べて、

先ほど述べた物語をキーワードの並びによる論理の形として

聞き手の頭に整理しておさめてもらうようにしてます。

簡単な表現としては、

「○○○+△△△→□□□□」

のような表現が楽だったりします。

聞き手が知っているキーワードの足し算とかが、聞き手にとって一番想像しやすい表現になったりしますです。

これができると、ユーザーがすんなりと遊べる企画になったりします。

逆にここが複雑だと、遊ぶまでに敷居の高い企画になりがちなので、そういう場合はいわゆる「独創的なゲーム」と思って通りづらい企画なんだと覚悟を決めます。

正直な話、簡単な図式で説明できるのは美しい反面、陳腐な可能性が高いんですよね。

特に他の人が思いついている可能性もきわめて高い。

ですので、あまりにもシンプルな図式に収まった場合は、ネットで検索して似たようなゲームが無いか調べますし、少なくとも「今誰かが思いついている」と思って間違いないでしょうね。

絶対に良い企画であると確信する

この企画が本当に面白いものか?良い企画なのか?

疑問をもっていたり、自信がないと相手に伝わってしまうものです。

だいたいは、しゃべっているうちにトーンが下がったり声量が小さくなったり。

結論を最後にもっていく論調だと、結論をブツブツ独り言で、まったく聞かせる気が無いプレゼンテーションになったりします。

ちょっと自己催眠しても良いから、自分で考えた企画は絶対に良い企画であると、自信を持って説明すると良いですね。

自信のない企画を薦められるなんて、聞き手にとっては

「そんなもの提案されるくらい、こちらは大した扱いをうけていないんだなあ...」

なんて思われてしまって、双方一挙にテンションが下がってしまいますし、そんな企画は通らないでしょうね。

伝えたくなる気持ちになること

企画内容について具体的な楽しさ、良さが頭に浮かび、それがとても良いものであるならば、聞き手に是非聞いてほしいと思うようになります。

つまり誰かに喋りたくなるような企画は、きっと良い企画ですし、その逆は、きっとつまらない企画です。

例えば

・道を歩いていたらペンギンが100羽横切った。すっげー!誰かに言わなきゃ!!

・「さっきこの道歩いてたら、すっごい数のペンギンが歩いてんの!」

・「何それ?何で??」

とこんな感じになるのでは?と思います。

これが100羽のペンギンではなく、1人のおっさんが歩いたとします

・道を歩いていたらおっさんが横切った

・「さっきこの道歩いてたら、おっさんが歩いてんの」

・「で?」

・「そんだけ」

話膨らみません。もし膨らませたかったら、おっさんを掘り下げるか盛るしかありません。

まあ、企画屋マインドなら間違いなく盛りますが、ここではその話は無しという方向で。

えーっと、何が言いたいかと言うと、人に話したくなるくらい企画をを楽しいものにするという事で、話する程でもないな、とか、話が進まないな、と思うようなら、その企画はまだまだと思うと、良いバロメーターになるのではないかなと思うのです。

事前にプレゼンテーションをする効果

先述のような事をプレゼンテーションからわかりますので、そうすると企画の内容もまだ突っ込む所が見つかったりしますです。そのうちプレゼンを想定しながら企画書を書けるようになると色々楽になったりもしました。