ゲームの世界観はプロジェクトの世界観

世界観というと

「中学二年生のノート」

「ゲームに意味無い壮大なストーリー」

「説明書にちょろっと書いてあるもの」

「キャラ設定みたいなもの?」

とかそんなイメージをもってる人が多いかと思います。

ゲームを開発する人達でも、

「とにかく作ってしまえれば良いんだから、いらないよ」

「ゲームなんだから細かい事はいいんだよ」

「ヒットした後で設定資料集を作って売ればいいんだよ」

「ゼビ語とかしゃべらないし」

とか、とかくいらないものとして真っ先に捨てられるものの一つなんですよね。

でもまってください。

本当に不必要なんでしょうか?いいえ必要なんです。

世界観があれば、ゲームは早く安く正確に作れるんです。

ちゃんと「作る側」からの考えで世界観の存在価値を考えてみましょう。

グラフィッカーに発注する例

昔の古きよき時代のように、ゲームは一人二人でコツコツ作る時代ではなくなってまして、現在では何人何十人もの人がゲーム開発に携わっています。

(ソーシャルゲーム開発は現在のところ極めて少数ですが・・・)

例えばグラフィッカーに剣士の絵を描いてとお願いするとします。


企「男の剣士を描いて下さい」

グ「どうでしょう?(剣にリボルバーがついている)」

企「すいません、リボルバーは外してください」

グ「わかりました(剣にパイルバンカーがついている)」

企「すいません、パイルバンカーは外してください」

グ「・・・(普通の板金鎧の騎士)」

企「板金鎧は違うんですよね...あと剣はもっと細身で」

グ「イライラ」

企「この世界は火薬も蒸気機関も無くて、毒が発達してるケミカルマジックファンタジーなんですよ」

グ「最初に言えよ!!!!」


というように、何回もリテイクが発生してしまいます。

もちろんイメージ出しでは色々なやりとりが必要ですが、最初に「ケミカルマジックファンタジー。主人公種族はゴブリン」って世界観設定をしっかり作っていれば、グラフィッカーは最初から吹き矢をもったかっこいいゴブリン剣士を描いてくれた筈です。

そうすれば、そこから更に精度の高いグラフィックの修正案を出すことができます。結果、作業工数は少なくなりますし、クオリティも上がります。

つまり、安くて美味しいものができます。

世界観はスタッフの「共有認識」

グラフィックの例を出しましたが、シナリオやプログラム、サウンドに至るまでほぼ全てにおいて世界観を軸にすると制作がスムーズになります。

世界観は「特に指定するまでもない特徴」を示す、制作のベースです。

世界観を作ることは、仕様書のベースとして使う、いうなればゲーム開発の憲法のような存在です。

ですので、世界観を作るというのは、ゲーム開発のお約束・ルールを作るに等しく、これをちゃんと作るとリテイク数は減るし、スタッフのモチベーションは保たれますし、コストは安くなるし、スタッフの引継ぎが容易であると良いことづくし。

というか、本来は必要不可欠なものです。

必要となる世界観というのはどういうものなのか?

開発で必要とされる世界設定は一般公用語ではまったく使われない不思議な単語の羅列とは違います。

仕事で大切なのは「スタッフの共有認識」ですので、できうる限り皆が理解できる言葉を使い、クリエイターの創造力を阻害しないよう適度に空白がある設定が要求されます。

実際に有用性の高い設定の形については、いずれ書いてみたいと思います。

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