ゲーム開発の見積りについて考察 [2]
本当に費用はそれだけ? (1/3)
両方のガンチャートは開発担当者のスケジュールのみが入っています。
しかし会社で活動している以上、本当はそれ以外の部署や要素がからんでいます。
作業工程を評価する上でそういった箇所にも目を向けると、新しい事実が見つかったりします。
たとえば、
- 営業
- 経営、総務、経理
- 機材管理
といったものが関係します。
営業
会社はモノを売るところ
昔勤めていた会社で社長が「君の仕事は何かね?」と質問したことがありました。
私は「ゲームを作ることです」とキリッと言いました。
社長は「違うよ」と否定し、「君の仕事はゲームを売ることだ」と言いました。
当時私はムッとしたものですが、今思えば会社は商品を売るのが主な仕事。会社に勤務している以上、売る商品を作るのだから「売る」という意識が当然必要なのだという事なのだと思うようになりました。
営業ツールを作る仕事
商売の最前線は営業です。営業が無ければ会社は成り立ちません。
会社にとって営業が売りやすくなるよう支援する事がとても大切な事になります。
営業からは「雑誌に載せる画面写真が欲しい」「セールス用コピーが欲しい」「早く広告を出したい」といった要望が来るはずです。
開発は営業にツールを提供する仕事が発生します。例えば雑誌にのせる開発画面、設定資料、イラストレーション、販売用テキストなどなどです。
実はそういった営業ツールの作成がスケジュールに組み込み忘れてたりします。
当然ですが、作業日数が圧迫されていたり、作業人員が少ないと、営業ツール作成の日程は圧迫されます。
圧迫された営業スケジュールは、ゲームの売り上げに悪影響をおよぼします。
作業項目 | 担当 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
仕様書 | Aさん | \100 | \100 | \200 | ||||||||
シナリオ | Aさん | \100 | \100 | \200 | ||||||||
雑誌用画面写真 | Aさん | \100 | \100 | |||||||||
広告手配 | Eさん | \100 | \100 | |||||||||
合計 | \600 |
Aさんが全ての作業を完了させてから営業用資料として雑誌用画面写真を作成すると、営業のEさんが広告を仕掛けられるのは6日以降になります。
これに対して仕様書作成担当のBさんが雑誌用画面写真を作成するならば、Cさんが途中作成している段階で開発進行を邪魔せずに営業のEさんに写真を提供できるので、Eさんは4日には広告を仕掛けられることができます。
この営業チャンスの時間差が実際の売り上げに大きく影響する事があります。
作業項目 | 担当 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
仕様書 | Bさん | \100 | \100 | \200 | ||||||||
シナリオ | Cさん | \100 | \100 | \200 | ||||||||
開発進行 | Dさん | \100 | \100 | \100 | \100 | \400 | ||||||
雑誌用画面写真 | Bさん | \100 | \100 | |||||||||
広告手配 | Eさん | \100 | \100 | |||||||||
合計 | \1000 |
見積もってない作業があったりする
営業ツールの準備作業は何故か開発スケジュールの中に含まれず、「開発のついでに提供する」というのが慣例になっている会社がよくあります。
また、提供された情報を加工するのも営業の仕事になっていたりします。
開発が遅れたりすると、営業スケジュールに大きな影響を与え、売り上げがあがらない恐れがあります。特に開発画面を雑誌に提供するような場合は、画面がまったくできていないと、雑誌専用に画面をでっち上げるという妙な作業が発生したりしてしまいます。
また、雑誌に送った仕様が実装されていなかったり、食い違った内容を補完する為に実仕様を変更しなくてはならなくなったりと、本末転倒な事がおきてしまうこともあります。
営業チャンスは早めに作ってあげる
そもそも営業は早めに手配をし、必要な時に手を打うつことで売り上げが上がります。
ゲームを売る以上は仕事ですから、営業も開発も同じチームとして有機的に動けるような体制を作ることが要求されます。
ゲームは商品ですから、売れなくてはしょうがありませんしね。
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